Rubyビジネスモデル研究実証事業「成果報告書」

第2章 準備内容

開発手法の研究実証を始めるにあたり、まずは顧客企業へ取り組む開発手法の説明を行った。そして、事業開始に際してはキックオフを実施した。また開発をスムーズに行えるよう開発環境の準備を初期段階で行なった。本章では、これらの準備内容について説明する。

1. 事前説明

本事業の開始に当たり、顧客企業である出雲村田製作所に、取り組む開発手法についての説明を行った。

出雲村田製作所では、自社でソフトウェア開発を行っており(内製)、利用部門向けのソフトウェアを情報システム部門にて開発してきた。開発されたソフトウェアに対しては、利用部門から週に1〜5件程度の変更要求があるため、開発時から利用部門のニーズを的確に捉え、反映できるソフトウェア開発手法を模索していた。また、運用開始後も変更要求に柔軟に対応できるよう、保守性の高いソフトウェアを開発することが命題となっていた。

そのため、出雲村田製作所は、本事業の「プログラミング言語Rubyの特徴を活かし、顧客ニーズを素早く的確に捉え、顧客満足度を高めることのできる開発手法を実証し、その有用性を明らかにすること」という目的に共感し、本事業に対して積極的に協力することとなった。

2. キックオフ

事業を開始するに当たり、事業関係者でキックオフを行った。ここではそのキックオフについて説明する。

2.1. 目的

キックオフでは、本事業におけるチームと個人の目標の設定と共有を目的とした。また、新しい開発手法を取り組むに当たり、導入教育も実施し、新しい開発手法への理解度を高めることを狙った。

2.2. 内容

キックオフは以下のアジェンダで遂行した。

  1. 9:00 -10:35 キックオフ:自己紹介、目標共有
  2. 10:45-10:50 ユーザー企業ビジネス状況説明
  3. 10:50-11:30 導入教育:アジャイル開発概論
  4. 13:05-17:30 導入教育:アジャイル開発計画づくり編(演習)

実施担当者全員が参加した。はじめに、本事業の目標を共有するとともに、個々人の役割毎に本事業終了後に達成していたい目標を書き、各会社毎に共有した。これは個人の目標、他のメンバーの目標、そして事業の目標を達成するために、各人が各々の立場で何をすべきかを考えながら日々を過ごすことを狙った。この目標の記述においては、後述するユーザーストーリーのフォーマットで目標を記述し、理由と満足条件も明らかにし共有した(この個々人の目標は途中で再度見直しをした)。

目標例
[スクラムマスター]として、[チームが活発に活動する状態を維持し]たい。それは、[そうした状態が価値のあるソフトウェアを作り出すはず]だからだ。

続いてユーザー企業ビジネス状況説明については、出雲村田製作所の評価者A(情報システム部門の部門長)が説明を行った。また、導入教育については、コーチが講師を務めた。

3. 開発環境

研究実証を行うのに必要な開発環境を事前に整えた。ここではその開発環境について説明する。

3.1. プロジェクト管理システム

開発作業を円滑に行うために、プロジェクト管理システムを導入することにした。システムにはRuby on Railsで構築されている「Redmine」を採用した。「Redmine」は、Webベースで利用できるツールであり、プログラミング言語「Ruby」の開発にも活用されている。開発作業におけるタスクや課題を チケット という単位で登録することができ、そのタスクや課題を一元管理することができる。

本事業では、事業期間が限定的であること、また、限定的であるがゆえにスピーディーに「Redmine」を準備する必要があったこと、さらにテクノプロジェクトと出雲村田製作所の両社がアクセスできる必要があったことから、SaaS(Software as a Service)を利用することとした。そこで、日本国内の事業者による「Redmine」のSaaSで、SSL対応やウイルス検査などのセキュリティ対策も行われている「My Redmine」 [1] (ファーエンドテクノロジー株式会社、本社:島根県松江市)を採用した。

3.2. バージョン管理システム

ソフトウェア開発で作成されるソースコードを管理するために、バージョン管理システムを導入することにした。システムには、出雲村田製作所で利用実績のある「Subversion」を採用した。

「Subversion」についても、「Redmine」と同様にSaaSを利用することとした。SaaSとしては、前述の「My Redmine」と連携できる「My Subversion」 [2] (ファーエンドテクノロジー株式会社)を採用した。

3.3. テスト環境

本事業で開発するソフトウェアをテストする環境を設ける必要があった。

このテスト環境も、事業期間が限定的であり短期間の利用となること、また、テクノプロジェクトと出雲村田製作所の両社からアクセスできるようにする必要があったことから、PaaS(Platform as a Service)を利用することとした。PaaSとしては、安価に月額利用できる「IIJ GIO」 [3] (株式会社インターネットイニシアティブ)を採用した。

[1]My Redmine http://hosting.redmine.jp/
[2]My Subversion http://www.svn.ne.jp/
[3]IIJ GIO http://www.iij.ad.jp/GIO/