Agile Japan 2025 SateIIite TechnoProject を 開催しました
開催の経緯
形式にもこだわりました。前年は講演を中心に据えたイベントでしたが、今回は学んだことを実際に試し、持ち寄って振り返る実践型としました。一方的にプラクティスを体験するだけでは、「いろいろ知れてよかった」で終わり、現場でどう活かすかまでつながりにくい。そう考えたからです。また、「他部署の人とプロジェクトについて話す機会がない」という声や、対話を求めるニーズが現場にあることも聞いていました。だからこそ、対話を中心に据えています。
こうした思いに賛同する社内の有志が実行委員会を立ち上げ、自律的に企画・運営を進めました。部署・役職を問わず、幅広い参加者が集まりました。
イベント概要
・開催日:第1回 2026年8月26日(水)、第2回 2026年9月8日(火)
・場 所:株式会社テクノプロジェクト本社
・対 象:プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダー、チーム運営や組織改善に興味のある方。
・構 成:
○第1回『試すヒントを得る』:壽山による講演、他者の実践を知る、現場でできる小さな行動を考える
○第2回『実践した内容をふりかえる』:第1回で立てた行動の振り返り、次に実践する小さな行動を考える
第1回ー試すヒントを得る
講演ー「大切なものは、ほしいものより先にきた。」
第1回の講演には、当社の壽山が登壇しました。長年プロジェクトマネジメントの現場を歩み、マネージャーを経て、現在は部長として組織を俯瞰する立場にあります。現場をよく知りながら、さまざまな視点から物事を見ている。その語りこそ参加者の役に立つと考え、登壇を依頼しました。Agile Japan 2025 本体にも登壇しています。
講演の中心にあったのは、「なぜ作るのか」という問いでした。事前アンケートに多く寄せられた 「 正しいやり方を知りたい」という声を受け止めたうえで、今は「どう作るか」以上に「なぜ作るのか」が問われる時代だと語ります。そしてそれは、プロジェクトマネージャーが一人で背負うものではなく、メンバー全員で対話しながら考えるべきものだ、と。そのうえで、対話は正解を出すためではなく材料を見つけるためのものであり、正解が出ないからこそ小さく試すことが大事だ、とも語られました。会場では、うなずきながら聞き入る参加者の姿が印象的でした。
締めくくりに語られたのが、「大切なものは、ほしいものより先にきた。」という某人気漫画から引用された名セリフです。売れる新規プロダクトという「ほしいもの」を追う道中で一番大切だったのは、共に悩み、試し、失敗した仲間と「やったな」と握手した瞬間だった。ほしいものを一人ではなく仲間と本気で追うからこそ、その過程で大切なものが生まれる。そう語りかけ、講演は締めくくられました。
ワークショップー「対話」を主軸に
参加者はまずペアになり、お互いのプロジェクトの課題を深掘りし合います。他者の視点に触れ、また自分の課題を口に出してみることで、これまで気づいていなかった課題に自ら気づいていく。続くグループフェーズでは、その課題の解決案を一緒に考えました。
会場は、始まってすぐに参加者の声で満ちていきました。互いの目を見ながら、身を乗り出すように話し込む。普段は言葉を交わさない他部署のメンバー同士でも、手が止まることなく議論が続きます。「なぜ作るのか」を一人で背負わず、メンバーと対話しながら考える—講演で語られたことが、そのまま会場で起きているようでした 。
第2回ー実践のふりかえり
第2回では、第1回から約2週間の間に現場で実践した内容をふりかえりました。参加者は「課題→行動→結果→課題→次の行動」という流れで、試したこと、そこで見えた新たな課題、次に起こす行動を、自分の言葉で整理していきます。
ふりかえりでは、印象的な実践がいくつも共有されました。
ある参加者は、受け身になりがちなメンバーの育成という課題に対し、プロジェクトの週会の進行を若手に任せ、あわせて朝会の目的や効果を対面で伝えてみたといいます。すると「自分が回さないと」という当事者意識が芽生え、若手が自らスケジュールや課題に目を向けるように変化しました。進行を任せられた分、本人は課題への対処に集中できるようになったという副次的な効果もあったそうです。
別の参加者は、AIの成果物がレビューを経ずにそのままコミットされてしまう、という課題を挙げました。AIを使う目的をチームで認識合わせしたところ、自己レビューの必要性が共有され、無検証のコミットがなくなったといいます。課題の中身は異なりますが、どちらも「目的」を伝え、共有したことが変化のきっかけになっていました。第1回の講演で語られた「なぜ作るのか」を一人で背負わず、メンバーと対話しながら考えることの効果が、それぞれの現場で確かめられた形です。
最後に参加者は、「こうなりたい」という理想像をビジョンとして書き出しました。目の前の一つの行動で終わらせず、その先に向かう姿を描いておく。イベント後も「試す→振り返る→また試す」のサイクルを現場で続けていくための一歩を、それぞれが持ち帰る場になりました。
イベントをふりかえって
・自分の課題の改善策を対話しながら考えるのはもちろん、他のメンバーの課題を一緒に考える中にも学びが多く、チームでも同じように取り組んでみたいと思った。
・部署が違うと、感じている課題も対処法も異なり、新鮮な意見を聞けた。逆に、部署が違っても行き着く対処法がまったく同じになる課題もあり、それも面白かった。
・自分の課題について話すうちに、その本質や「最終的にどうなりたいのか」が少しずつ見えていく過程を経験できた。同時に、自分の深掘りする力の不足にも気づけた。
「対話しても正解が出るわけではない。だからこそ小さく試す」という講演で語られた言葉のとおり、参加者はそれぞれの現場に持ち帰る一歩を見つけていきました。立場や部署の違いを越えて課題を語り合い、他者の視点から学ぶ。その積み重ねが、日々の現場を少しずつ変えていきます。今後もこうした学びと対話の機会を重ね、誰かの「生きる」をより良くすることにつなげていきます。